富士フイルムグループ健康保険組合では2023年度から慢性腎臓病対策プロジェクトを立ち上げ、発症・進行の予防に努めています。CKD(慢性腎臓病)は初期には自覚症状がほとんどありません。それがCKDの怖いところであり、CKD患者が増加している原因の一つでもあります。今回はCKDとはどんな病気なのかお話していきたいと思います。
▶ 「腎臓」のはたきについて
腎臓は背中側の腰のやや上のあたりに位置する左右1個ずつある握りこぶし大(150g)の臓器です。
腎臓は血液中の老廃物をろ過し、尿として排出してくれるとともに、水分量と電解質の
バランスを維持しています。また、生命にかかわるホルモンをつくり出し、血圧の調整・骨を強くする・血液をつくるといった重要な役割を担っています。
▶ CKDについて
CKDとは様々な原因によって腎臓のはたらきが徐々に低下していく状態をいいます。日本のCKDの患者は1,330万人(成人の約8人に1人)と推計され、あらたな国民病の一つとされています。もともとの腎臓の病気に加えて、遺伝的要因、個人の生活習慣が大きく関与している「生活習慣病」、内臓脂肪が蓄積し高血圧・糖尿病・脂質代謝異常が起こる「メタボリックシンドローム」がCKDの発症に大きくかかわっており、誰もがかかる可能性があります。
▶ CKDの症状について
CKDは初期には自覚症状がほとんどありません。そのため、症状が現れた時には病気がかなり進行している可能性があります。腎臓の働きが悪化し続けると正常な状態に戻す事はできません。
▶ CKDの治療について
CKDは早期に適切な治療を受ければ腎機能の低下を遅らせる事が可能です。生活習慣の見直し、運動療法、食事療法、進行によっておこる様々な合併症(高血圧・心不全・腎性貧血・高カリウム血症・高リン血症・二次性副甲状腺機能亢進症)に対しての薬物療法がおこなわれます。進行すると腎不全となり、透析治療や腎臓移植が必要になります。
▶ CKDを予防するためには
生活習慣の改善(禁煙、減塩、肥満・運動不足の解消、節酒など)は腎臓を守る基本です。また、定期的に健康診断を受けて尿や血液の検査をすることが早期発見・早期治療につながります。健康診断で異常があった場合には自覚症状がなくても必ず受診し、医師の指示に従うようにしましょう。
参考:日本腎臓学会「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」
あああ東京都保健医療局「ほっとけないぞ!CKD」